お茶にもいろいろあります。日本茶、中国茶に紅茶。飲み方や味などを考えると、どれも別物に思う人が多いかも知れません。が、しかし!この世界各国のお茶の原料となる植物、実はみんな同じ、《チャの木》なんです。

植物学的には、お茶の原料となる《チャの木》はツバキ科に属する常緑樹で、学名をカメリア・シネンシスといいます。チャの木の原産地は、中国の雲南省辺り、チベット山脈の高地と、中国東南部との地帯といわれています。現在はインド、スリランカを始めとする東南アジアや台湾、中国、日本などを中心としてさまざまな地域で栽培されています。

チャの木は通常、高さが10m以上にも及ぶ大木へと成長します。しかし、お茶の原材料とするために育てられている茶園のチャの木は、収穫の時に茶葉が摘みやすいように1mほどの高さに剪定された状態で栽培されています。お茶の段々畑、アレを見たことがある人も結構いるのではないですか、アレですよ、アレ!ちなみにチャは白い花を咲かせます。

チャは大きく分類すると、《中国チャ》と《インドチャ》の2つに分けることができます。

中国チャは中国の東部および東南部や、台湾、日本などで主に栽培されています。長さが6〜9cm、幅が3〜4cm程度の小葉種で、葉の先端部があまり尖らないのが特徴です。葉は濃緑色のつややかな表面をしていて、芽の部分は少し赤みがかった淡緑色です。

中国種のチャでも中国の湖北、視線、雲南などの各省を産地とする大葉種もあり、長さがおよそ15cm、幅が5〜6cmで、樹高が5mにもなります。主に緑茶用として栽培されています。

インドチャは葉が大きく、長さが12〜15cm、幅が4〜5cmほどあり、葉の先端部が尖った楕円形上です。表面は淡緑色ででこぼこしているのが特徴です。また、中国チャに比べると繊維も粗めです。インドチャもやや小葉種のものと大葉種に区分できます。

ラオス、タイ北部、北部ビルマ、アッサムに生育する小葉種のチャはそのままにしておくと高さが5〜10mほどに成長しますが、茶園では手摘みが出来るように、1mほどの高さに剪定されていて、主に紅茶用として栽培されています。

インド大葉種と区分されるものは、アッサムやマニプール、カチャールに育成していて、15〜18mにも及ぶ高さにまで成長します。葉は最大で20cm。表面は濃緑色で葉肉は薄くて柔らかくなっています。

これらの品種の使い分けは、寒さに強い温暖種の中国系のチャは緑茶として。寒さには弱いものの、強い直射日光を吸収している熱帯種のアッサム系はメラニンの含有量が多く、発酵しやすい大葉種なので、紅茶用として最適です。

今度は《お茶》ということで分類してみましょう。

緑茶も紅茶も同じ《チャの木》を原材料としているのに、どうして色や香りが違うのでしょう?それは《製法》が違うから!

その製法によって大きく3つに分けることができます。

発酵をさせずにそのまま乾燥させるのが《不発酵茶》です。これに分類されるのが《日本茶》の玉露、煎茶、焙じ茶です。

紅茶は茶葉を揉んだ後に酸素に触れさせて酸化発酵をさせた《発酵茶》です。これが焦げ茶色から黒褐色にと変色。ブラックティーと呼ばれる茶葉になります。祁門茶や工夫紅茶、小種と呼ばれるものも発酵茶です。

不発酵茶と発酵茶の中間が《半発酵茶》です。《中国茶》がこれに分類されます。烏龍茶の鉄観音、水仙。それから白茶です。

お茶は中国やアジアを中心として、緑茶や烏龍茶が広まり、ヨーロッパやロシア、米国では紅茶が広まりましたが、これは好みの問題だけではなく、それぞれの食文化との相性にも影響を受けた結果なのです。